ANNUAL EXHIBITION 2023 KYOTO CITY UNIVERSITY OF ARTS

2024.2.7wed -2.11sun 10:00-18:00

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学生インタビュー

萱原 遊 Yu Kayahara

版画

まずは自己紹介からお願いします。

版画専攻でシルクスクリーンを専攻している4回生の萱原遊です。

よろしくお願いします。早速ですが、萱原さんは普段どういった制作をされていますか?

シルクスクリーンという版画技法を用いて平面作品を作っています。イメージに関してはほとんどパソコン・CGで作っていて、それをアナログで出力する際にシルクスクリーンという技法を活用しています。

シルクスクリーンを使用してどんな作品を作っているのですか?

大きいキャンバス生地に絵画みたいなものを刷っていて、卒業制作に向けてもシルクスクリーンを使って制作しています。2023年の10月23日の段階なのでちょっと申し訳ないのですが、今のところ版画技法とか複製技術にまつわるタイムラグ、あるいは遅延性みたいなものを1つのテーマにしようと考えてます。

遅延性って難しそうですね。

さっき正確な日付を言ったのも、このインタビューの内容が公開されるのは3ヶ月後くらいなのかなと思っていて、つまり今喋った内容に関してもものすごいタイムラグを経て世の中に公開されるということが僕が普段やってるシルクスクリーンの手際みたいなものと結構通ずる部分があるな、と。シルクスクリーンもコンピュータ上で刷りたいイメージの原画がいざ完成してからそれを実際に手で出力するまでにはちょっとしたタイムラグが必ずあって、だから刷り上がる頃には制作を始めた時に抱いていた一つの情熱とか、ノリとか勢いみたいなものはとうに消えてしまって冷たいものが出来上がるのですが、だからこそ冷たい段階になったとしても飽き足らず見られるもの、好きでいられるものを作っていくということが自分にとって制作をする上で必要な部分としてあります。予めタイムラグがあるということを加味したうえで制作をしていくということが今の生活だったり、制作においても自分の根幹の部分にあるように感じています。

作品のテーマが時間というよりも、作品自体が時間を含んでいるといった感じですね。

そうですね。時間や遅延性を表現したいというよりもそこに生じてしまうがゆえにそれとどう向き合っていけばいいんだろう、みたいな感じです。

なるほど。話は少し変わるのですが、移転して心境の変化などありましたか?

僕たちの学年は入学当初に感染症が流行して個人ではどうしようもないような大きな力にさらされてきた学年だと思うのですが、とはいえその大きな時間軸の傍らでプライベートな時間も自分たちは必ず共有していたはずで、歴史上に残っていくようなコロナウイルスとか戦争とはまた別の時間軸にある自分たちの記憶は新校舎に移転したとしても大きな流れに回収されず忘れずにいたいなと思っています。
僕たちの学年がダイレクトに食らった学年だからこそ、そういった部分を受身的に悲観的に捉えることもできますが、それだけじゃなかったはずだよな、といったことはなんとなく感じているので、今回の作品展においても大きな流れの中に自分たちがいたということも前提としてはありつつも、どちらかと言えばその裏側にあったはずの個人レベルの時間みたいなものの方にちょっと着目してもらえたらいいのかなとか、さっき話したタイムラグに関しても、その熱が冷め切った冷たい領域の部分について作品鑑賞のときに見てもらえれば一つ鑑賞方法が増えるのではないかと思っています。

新校舎の使用感はどうですか?

まだ実際に制作が始まっているわけではないのですが、とはいえやっぱり設備が新しくなったりとか、前の沓掛キャンパスから持ってきたものも妙に新鮮に見えるみたいな部分がありますね。この机も前の校舎から持ってきたものなのですが、なんか前とはちょっと見え方が変わってくるな、みたいな。考え方がガラッと変わるみたいなことはないと思うのですが、心機一転のチャンスみたいなものに捉えてみてもいいのかなと思います。

気持ちがちょっと前向きになったらいいなっていう感じですね。
最後になりますが、作品展への意気込みをどうぞ。

卒展ということなので、今までとは一味心の持ちようも変わってくるのかなと思っている一方で新校舎初の作品展というのもあって、そちらの方がどちらかというと不安が大きいです。どこに作品を飾るんだろうとか、全員入りきるんかなとか。自分は直前になったら集中して力を入れて作品を作れるっていうのは分かっているので、調子に乗ったことを言うと自分の制作意欲に学校がついてこれるのか、みたいな。そんな気分かもしれない。そのぐらいの気分じゃないと逆に卒制っていうものは乗り越えていけないような、ちょっと大きなプレッシャーではないですけど、やっぱその分自分に応えていきたいなっていうのは感じてます。

なるほど、楽しみにしています。ありがとうございました。


  • インタビュアー大谷 花
  • カメラマン大城 咲和