まずは自己紹介からお願いします。
染織専攻の4回生の滝直です。
よろしくお願いします。早速なのですが、普段の制作ではどういったことをしていますか?
技法としては主に編み機を使ったニットと手編みで作る立体作品を作っています。
2回生の時にあった染織基礎の授業の中の編みの授業をきっかけに手編みを始めました。編み物は途中で変更しやすいし、制作をしながら形を変えられるので好きになりました。3回生の時に機械編みの編み機を初めて触って、「あ、布をこんなにも簡単に作れる機械があるんだ」と思ってそこでまた感動してハマり出したっていう感じです。
なぜ染織専攻にいこうと決めたのですか?
最初のきっかけは洋服を作りたいなと思って、洋服で大学、じゃあ染織かな、と。軽い気持ちで染織にしようって決めてから2回生の専攻を決める時期に自然と染織専攻に進むことになり、染織専攻に進んでからは洋服は作らずファイバーアートやソフト・スカルプチュアといった現代アート系に興味を持ち始めました。洋服は軽い気持ちで作りたいと思っていたけど、染織専攻に入って繊維を使う芸術の広さを初めて知って「あ、こんなにもいろんなことがあって、面白いんだな」と思ったことと編みの授業の先生が現代アート寄りだったので、それの影響もあって今のような制作をしています。
なるほど。普段の制作の制作工程についても詳しくお伺いしたいです。
最初は大体テーマから入って、何を伝えたいかとか何をテーマとして制作するかを考えてから、そこから技法と素材を決めてということが多いです。そのあとで伝えたいものに合うテイストとかテクスチャーを考える為にサンプルを作っています。
テーマはどのように決めていくのですか?
自分が世の中に対して疑問に思うこととか、ちょっと僕と価値観が違うなという所を自分の視点からやんわり伝えつつ、人に考える場所を提供したいということをいつも考えながら制作しています。
なるほど。卒業制作は進んでいますか?
卒制はもうほぼ決まりきっていて……。
おお、すごい!
テーマとしては、自分にとってのトラウマの解釈の仕方が人とは違うと思ったところから始まっています。一般的なトラウマを見る視点は、それを理解しようとかそれは自分を育てたもので自分を強くしたもの、みたいに捉えたがるけれど僕はそれがしっくりこないなと思っていて、自分の思うトラウマを正直に表現して技法も今まで通り編みを使ってそれで立体作品を作るという感じです。今はテクスチャーの試作段階です。
それとかもですか?
そうですね、ほぼこれに決まりきっている状態です。
編み物って毛糸を使うイメージが強いのですが、毛糸以外のこういった素材も結構使うんですね。
僕は結構そういう変な素材が好きで、糸以外のものに可能性を見つけたいなと思っています。例えば3回生の進級制作もペットボトルを裂いて織ったりとか。染織だからと言って綿、羊毛、絹といった当たり前の繊維を使うのではなく自分で何か裂いて作るとか、そういったちょっと違うテクスチャーを探すことが好きです。テーマに合った自分の中で想像するテクスチャー、例えばこのテーマだったらちょっとゴワゴワしてて固いものがいいな、と思うと針金使おうかなとか。これははっきりと違いを出したいから、対局するようなイメージの羊毛とテグスを選ぶとか。結構そのテーマに合うものを想像してそこからこれがいいかな、それがいいかなって試すって感じです。
なるほど。色味もですか?
色味は正直、好きな色でやっているという感じです。もちろんテーマの伝えたい色というのが土台にはあるけど、やっぱり自分の作品だから自分の好きな色を使って作りたいと思っています。自分が好きなものを最終的には作りたいから、ある程度「暖色系にしよう」くらい決めておいてあとはフィーリングで決めています。
すごいですね(笑)
話がガラッと変わりますが、移転してどうですか?
やっぱり最初は都会でちょっと冷たい感じで空気もなんか乾燥してるのかな、とかあったけど、慣れたらやっぱり綺麗だし一番はお手洗いが……綺麗!前の男子トイレは狭いし、汚いし、あったかくないし、寒いし、と色々あったからそれは嬉しいです。卒制だけを新しい場所でする、というのはやっぱりちょっと変だな〜と思う気持ちはありますが、逆に気持ちを切り替えて今までにないものに挑戦するキッカケというか、新しいところだし頑張るぞ!って気合いが入るし、設備とかは綺麗になって新しいものも入ったからそこは有難いなって感じです。
なるほど。では最後になりますが、作品展への意気込み等ありましたらお願いします。
意気込み……意気込みは、とりあえず頑張る(笑)
迫力大満点、自分の労働力限界突破!みたいな(笑)
それをベースにおいて、とりあえず大きく迫力のあるものが作りたいです。今までもある程度大きかったけど1つ1つはそんなに大きいわけではなくて、中くらいのものをいっぱい作って空間を埋めるという作品が多かったので、今回はとりあえず1個の大きいものに挑戦するっていう感じです。
楽しみにしています。ありがとうございました。
- インタビュアー大谷 花
- カメラマン大城 咲和