ANNUAL EXHIBITION 2023 KYOTO CITY UNIVERSITY OF ARTS

2024.2.7wed -2.11sun 10:00-18:00

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学生インタビュー

新谷 響名 Kyona Shintani

漆工

まず自己紹介からお願いします。

はい。漆工専攻の加飾ゼミ4回生、新谷響名と言います。よろしくお願いします。

普段はどのような制作をされているんですか?

普段は漆という素材を用いて、乾漆という……発泡スチロールで原型を作って、そこに漆を塗り重ねていって……立体作品を主に作っています。

さっき加飾ゼミっておっしゃってたんですけど、どういうゼミか教えてもらってもいいですか?

加飾ゼミは、例えば蒔絵とか螺鈿とかの加飾技法を教えていただけるゼミになっています。で、加飾の他には「乾漆」「髤漆」「木工」の3つがあって、さっき言った「乾漆」は発泡スチロールで原型を作ったり、「髤漆」は、漆を塗る行為自体を「髤漆」と表すんですけど、例えば原型を石膏で作ったりします。あと「木工」は、木を彫ったりとかそういうことをしたりしていて、その4つのゼミに分かれています。でも絶対その技法とかやり方でやらないといけないわけでもなくて、どのゼミでも各々したいことができます。

加飾ゼミの中で普段どういった作品を作っていますか?

私は主に艶で仕上げた立体作品をつくっています。私、加飾ゼミに属してる割にはあまり加飾をしてないんですけど(笑)。このゼミを選んだ理由として、ゼミの静かな雰囲気とか先生との距離感が心地よかったのと、めちゃくちゃ加飾をやってる人もいるので、自分と全く違うタイプだから逆に自由に出来そうやなって……私に合ってるかなって思って選びました。

これをやりなさいって感じじゃなくて、自由な感じ?

そうですね、ゼミで週に1回技法を教えてもらえる時間でしっかり学びつつ、それ以外の各々の制作は先生と相談しながら結構自由にできる感じです。

学びつつ、アウトプットは自由にできるんですね。卒業制作はどのような作品を考えていますか?

はい。卒業制作は変わらず立体造形と、あと自分の身体性みたいなものも取り入れようと思っています。
私はもともとフィギュアスケートを9年ぐらいしていて今もダンス部に入ったりしているんですが、普段生きていたり身体を動かすときの、自分の心情や体調などの「内側」と、空気や視線、圧力のような「外側」の境界線みたいなものを探しながら制作していて。それで今は漆がそれに当てはまるというか。漆って何層も何層も重ねていくんですけど、塗って研いで塗って研いでを繰り返して、最後磨いたり加飾をしたりしてできた層構造が、自分で成型した発泡スチロールの内側の形と外側のちょうど間に属してくれてる気がして。それで、自分の身体性みたいなものを卒制に取り入れようと思っているので……。あと、パフォーマンスみたいな、漆の作品を実際に持ってみたりして、作品自体も漆工テラスっていう外に開かれた場所に置いてみようかと。漆って紫外線に弱いのであまり外に置かれることがなくて、展示場所は暗い室内が多いんですけど、あえて屋外に置いてみることで、外側の刺激に触れて、作品に景色がどううつるのかとか、作品の層がどう透けていくのかみたいなのを見てみたいなと思ってます。

以前から新谷さんの作品はパフォーマンスっぽいものが多かったと思うんですけれど、制作する時は作品が先でしたか?それとも身体性が先でしたか?

多分、表現をする上では身体性が先に来ていて、そこから漆を知ったのが大学に入ってからなので、工芸科に入って工芸基礎(1回生後期の授業)で漆という素材を初めて触って、面白いな〜ってそっからどんどんのめり込んで。今は漆の素材の面白さを感じながら、漆と自分の関係性や距離感も探りながら制作しています。絶対身体表現をしたい!ってわけじゃないんですけど、なんか身体を動かすことによって自分が生きるエネルギーをもらえるっていうか…で、立体造形のモノとして形に残るのもいいなと……身体を動かす瞬間性や偶然性と、立体が残る存続性のうまい掛け合わせみたいなものができたらいいなと思って今はやっています。難しいけど……(笑)。

テラスで展示したいと言っていましたけれど、見に来てくださった方にどう鑑賞してほしいかなどはありますか?

せっかく屋外に、しかも体育館や京都タワーも見える位置に作品を置くので、漆の鏡面に景色がうつる様子など見て欲しいです。あと、動かしたりどっかに運んでみても面白いなと思っていて、色々ちょっとやってみたいなって思っています。

じゃあ展示期間中、いろんなところで見れるかもしれないですね。

かもしれないですね。漆でやってみたいことを卒制ではやってみようという気持ちです。

テラスの話が出たんですけど、ここに移転してきてからの制作はどうですか?

そうですね、場所的にはやっぱり以前の校舎と比べたら利便性もいいですし綺麗ですし過ごしやすいなとは思います。沓掛の森の生い茂ったような感じが恋しい気持ちもあるんですけど、ここの崇仁地区の新しい人や地域との関わりっていうのを大事にしながら、作品を作ったり発信していきたいなと思います。

好きな場所はありますか?

まず自分の制作室が好きです。前からグレードアップして使いやすくなったし落ち着くし、結構気に入っています。
あとは校舎入って音楽棟の右にあるちょっと広めの階段を上がったところにちょっと吹き抜けっていうか……めちゃくちゃ並んでるラーメン屋さんと京都タワーが見えるところも好きです。ここの校舎って結構風通しいいじゃないですか、風を感じながら、はあ〜って思ってみたりしてます。あとアヒルの人形とか、最近校舎のあちこちにいるじゃないですか、探しながら歩くの楽しいですよ。

確かに! 本日はありがとうございました。


  • インタビュアー若野 桜子
  • カメラマン大谷 花